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第3章「始動」後編

Gももうすぐ雪が降るそうです (前回までのあらすじ)
ついにガウスの里に攻め入ったTZT魔法王国の部隊。今回は四天王クラスが2人も参戦というかつてない事態であった。四天王の一人、雷帝ふじけんの圧倒的な力に苦戦するガウスの里の隊長達。隊長達の中で屈指の実力を持つ機GAUSU機の加勢によってわずかに形勢は傾くものの、ふじけんの恐るべき力により隊長の一人バルバロスガウスは戦場に散る。隊長3人がかりの力を持ってやっとのことでふじけんは倒れたのであった。

一方、もう一人の四天王イタチザメはガウスの里の中心部に向かう途中にかつての幼馴染のエンジェルスガウ子に出会う。お互い敵同士という立場の中、揺れる心。そしてついに、二人の心は通じた。しかし、その時戦場に1匹のウサギが舞い降りる。




(里中央区)



鮮血が舞う。

そのウサギは静かに降り立つ。


不敵なる笑みを湛えてーー。



エンジェルスガウ子はイタチザメの手の中で崩れ落ちていった。


しばしの間、イタチザメは何が起きたのか理解できないでいた。



血まみれのエンジェルスガウ子。
既に、息はない。

そして目の前にはバニーガールの衣装を身に纏った男がいた。

イタチザメは今まで長い間ガウスの里とは交戦してきたが、このような男が戦場に出てきたのを見たことがなかった。
しかしエンジェルスガウ子を殺したのは明らかにこの男。

イタチザメは頭の中で何かが外れる音を聞いた。

イタチザメ「貴様ぁああああああああああ!」


イタチザメの手に聖なる弓と矢が現れ、瞬時にその男めがけて射抜かれた。

イタチザメ「ホーリーアロー!!!」

あらゆるものを浄化する光の矢が猛進する。






だが。




信玄「この世で最も美しいものとは何だろうか?」


ふいに背後からその男の声が聞こえてきた。
矢が射抜いたはずの前方には誰もいない。


イタチザメは瞬時に距離をとる。

イタチザメの額に滴る汗。
全く、見えなかった。




頭に血が昇ってすぐには気付かなかった。

この男の得体の知れない雰囲気。
イタチザメの強豪たる四天王としての本能が告げる。
この男に関わってはいけない、と。



信玄「君達は敵同士であっても、最後まで愛を貫いた。それは非常に美しかったよ。それがこの先どのような結果を紡ぎだしたのか、是非見てみたかったポヨ。」

突然、その男は語り始めた。

イタチザメ「く・・・ならば何故、殺した」


信玄「そうだね・・・両国の均衡を崩すため、かな?」


イタチザメ「なん・・・だと?」

両国、それは明らかにガウスの里とTZT魔法王国のことを指していた。

何を企んでいるのか全く得体が知れなかったが、その奴の目的のためにエンジェルスガウ子が殺されたのは事実。
傍らで永遠の眠りについたエンジェルス・ガウ子を思い、イタチザメは再び戦意を取り戻す。



イタチザメ「貴様をここで浄化する」


イタチザメの周りに膨大な魔力が渦巻き始めた。
イタチザメは回復系の聖を司るが、その攻撃魔法もそこらの魔法とは比べ物にならない強さ故の四天王である。


イタチザメ「エンジェルレイ!!」

イタチザメの背後から巨大な精霊が現れ、信玄を覆う。



イタチザメ(これならばかわせまい・・・!)




だが、次の瞬間その精霊は突然消滅した。

イタチザメ「な・・・!?」



信玄「君達2人はあまり殺したくはなかったんだけど・・・ごめんね?」

ふいにウサギの気配が、変わる。






信玄「バニドルク」



次の瞬間、既にその男はイタチザメのはるか後方に移動していた。

イタチザメ「!?」

そして体にはいつのまにか深い傷が刻まれ、イタチザメは吐血する。

イタチザメ「がはっ・・・!」

イタチザメは知らぬ間に致命傷を負っていた。

イタチザメ(今の・・・奴が通りすぎる間に攻撃され・・・たのか、全く見えな)




イタチザメの体は崩れ落ちた、かに見えた。




信玄「・・・おや?」


イタチザメは倒れることなく、致命傷であったはずの傷もふさがっていた。


信玄「不思議だね、確実に殺したはずなんだけど」


イタチザメ「普通の奴なら、死んでいただろうな・・・」


そう、普通ならば死んでいた。
だがイタチザメは回復を司る四天王。致命傷を与えられても恐るべき蘇生魔法により、死ぬことはない。それ故、彼は不死者とも言われ恐れられていた。


信玄「どうやら君の能力のようだ。いいね、面白いよ」



そのウサギは楽しそうに、笑った。




<狂連谷>

狂連谷。ガウスの里、そしてTZT魔法王国に至るために必ず通る険しく危険が多い道である。
そこを、とある一行が移動していた。

サモタ「そろそろ休憩にしようか。」

えばた入道「そうだなー。疲れてきたしな」

縄源氏「わしはまだまだいけるぞ!」

松原老人「腰が痛いので勘弁してくれませんか?」


この一行にはかの有名なFameのリーダーサモタとそのサモタを支えるスリーエキスパートが総結集していた。
このFameは社会的弱者を救済し、争いを調停する事を主な業務としており、昔その業務を行っていたとある強大な一族が何者かに滅ぼされた後、その一族唯一の生き残りであるサモタがその意思を引き継いで再興した組織であった。

そのFameのリーダーと重鎮がこの谷を移動しているということは、ついにガウスの里とTZT魔法王国の争いの調停に本格的に動き始めたということである。



サモタ「風が出てきたな・・・。話し合いで済めば良いが、そうもいかないかもしれない。これ以上犠牲者が出さないためにも、必ず止める」


しかし、同時にサモタにはもう一つの目的があった。
父を殺し、あの一族を滅ぼした何者かを見つけること。


唯一の手がかりは、まだ幼かった自分が炎の中で最後に見たバニーのシルエット。



サモタ(あれは、幻影だったのだろうか・・・?)

あらゆる場所を探した。しかし、一向に手がかりは掴めない。


しかし、未だ全く調査を入れていない場所があった。
それこそがガウスの里とTZT魔法王国である。
そのどちらかにもしかしたら手がかりがあるかもしれないとサモタは考えていた。



<TZT魔法王国>
国の魔力が集中する、宝玉の間。

そこに2人の四天王がいた。

魔法使い秀吉(ひできち)「それにしてもTZT様はこの大事な時にどこにお出かけになられたというのだろうか。我々に行き先も告げぬとは・・・」

髭を生やし、安土・桃山時代の帽子を被った中年の男が少々不満そうに呟いた。

稲葉前司行長「TZT様にはTZT様なりのお考えがあるのだろう。私達はただ信じてお仕えしていればいいのだよ。」

答えたのは華美な衣装を纏った女性。

現在、TZT魔法王国にはその主であるTZTが不在であった。


TZTの行方は、誰も知らない。




<ガウスの里、中央広場>

イタチザメ「はぁ・・・はぁ・・・」



イタチザメは既に、少なくとも「10回」は殺されていた。


イタチザメ(何者なんだ・・・?この僕がかすり傷すら与えられないなんて・・・)

この時既にイタチザメは悔しさではない、むしろ体中を侵食する恐怖を感じていた。
イタチザメは圧倒的実力の差というものを生まれて初めて体感したのだ。


信玄「面白いポヨ。これだけ長く粘ってくれたのはあの男以来ポヨ」


そのバニーガールという異様な姿をした男は恍惚の表情を浮かべている。


イタチザメ(もう・・・この男を倒すためには・・・)


イタチザメの周囲に今までの攻撃とは桁違いの量の魔力が渦巻き始めた。


それを感じながらも、ウサギは笑みを崩さない。

信玄「今度は、何を見せてくれるのかな?」



イタチザメ「この者に、神の鉄槌を。ジェネシス!!」


周囲一帯に光が差し込み、台地が震える。

全てを浄化するその光は、まさに神の鉄槌と呼ぶにふさわしい術であった。

周りの建物類は跡かたもなく消しとぶ。



イタチザメ「これで・・・奴も」






信玄「君と戦えて、良かったポヨ」


イタチザメ「っ!?」

バニーガールの男は無傷で、目の前にいた。



ズシャッ



イタチザメ「あ・・・・」

もう何度目かの、致命傷。
ついにイタチザメは地面に倒れた。

あれだけ膨大にあった再生の魔力も、既に残っていなかった。


信玄「今回の戦いも、終わりを告げる。そろそろ戻らないといけないね。少しは楽しませてくれた礼を言うポヨ」

それだけ言うと、その男は姿を消した。


残されたのは、血塗れで横たわる四天王の1人。
素人目で見ても、既に長く持つようには見えない。

イタチザメ「う・・・・」

彼は悲しかった。そして悔しかった。
やっとエンジェルスガウ子に想いを届かせることができたのだ。

それなのに、あの得体の知れない男に全てーー。

イタチザメは最後の力を振り絞って近くに倒れているエンジェルスガウ子に手を伸ばそうとする。


イタチザメ「ごめん・・・君を守れなくて・・・どうか永遠に君と一緒に」

その手は届くことなく、イタチザメは息絶えた。




<ガウスの里、入口噴水場>

機GAUSU機「く・・・」

ガウス正宗「バルバロスガウス、偉大な男じゃったの・・・」

隊長を一人失ったという喪失感が、二人を襲っていた。
今まで長く共に闘ってきた戦友の一人。戦いには常に死は付きまとうことは誰もが理解している。だからこそ、彼らは涙を決して流すことはしない。

機GAUSU機「だが・・・これで奴らの主戦力、四天王の一人を倒した」

ガウス正宗「これは非常に大きな功績じゃ」

2人は倒れている全裸の男を眺める。
あの強大な力、その姿。今思い返しても寒気が走るほどの相手であった。



機GAUSU機「とりあえず、一旦本部に戻ろう。我らも負傷しすぎた。これではしばらくは戦えまい・・・。エンジェルスガウ子隊長辺りに治療してもらって、」

その時機GAUSU機はいち早く異変に気づいた。


つい今の今まであったはずの全裸男の死体が・・・ない。


機GAUSU機「おおおおおおおおおおおおおおおお!」

間一髪のところでガウス正宗を庇い、雷をかわした。

ガウス正宗「なんじゃ・・・!?」

機GAUSU機「そんな・・・・・まだ、生きて・・・」

そこには奴がいた。
全裸で腰に手を当てて仁王立ちする、四天王の一人雷帝ふじけん。

ふじけん「ここまで追い詰めてもらったのは久しぶりだ。さすがに隊長クラス3人を相手にしてはな。だが俺を誰だと思っている・・・?」

機GAUSU機の体は既に限界がきていた。
だが、里を庇い散っていったバルバロスガウスの姿が脳裏に過ぎり、次の瞬間は動き出していた。

ガウス正宗「いかん・・・!その体では・・!」




機GAUSU機「狂拳六式・・・」

機GAUSU機はふじけんの体に拳を押し当てた。

機GAUSU機「狂迫!!」

ふじけんの体をとてつもない圧力と衝撃が襲う。

機GAUSU機「ぐっ!!」

しかしそれは同時に機GAUSU機の体をも蝕んだ。

機GAUSU機(ぐ・・・ただでさえ六式以上は自分の体に負荷がかかるというのに・・・この体で使うのは自殺行為か・・・)

ふじけん「いい・・・パワーだ」

ふじけんは血を吐いたが、よろめきさえしなかった。

ふじけん「だが我々四天王は滅多なことでは死なん!我々が死ぬところなど想像できんわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

ふじけんの体を再び、雷が覆い始める。

機GAUSU機「まずい・・・よけきれん!狂拳二式、狂壁!」


ふじけん「ネイキッド・サンダーーーーーーーーー!!!」


周囲を強力な電気が迸る。


電撃が収まると、ふじけんの前には倒れている機GAUSU機の姿があった。


ふじけん「まだ生きているとは、しぶとい奴だ」


機GAUSU機「ぐ・・・」

咄嗟に防御の型でガードをとったものの、あの防御に長けたバルバロスガウスをも消し飛ばした雷。とても防ぎきれるはずもなかった。


ガウス正宗「わしが何とかできれば・・・」

ガウス正宗は思案したが、この全裸男に通用しそうな武器は思いつかなかった。

ふじけん「そこの老いぼれともどもここでお別れの時のようだな・・・ん?」


だが、彼は立ち上がった。

機GAUSU機「お、おおおおお・・・!」

機GAUSU機は既に命にさえ関わる状態であり、ましてや立ち上がるなど考えられるはずもなかった。
これにはさすがのふじけんも驚きを隠せない。

機GAUSU機「あのバルバロスガウスは・・・里のために体を張った!こんなところで俺が倒れていているわけにはいかないんだ!」

その尋常ではない気迫をふじけんは感じ取った。

ふじけん(この男・・・今ここで消しておかねば後々我々にとって脅威となるやもしれん)

ふじけんの周りに、今までとは桁違いの量の魔力が渦巻き始めた。

ふじけん「今、ここで貴様らを確実に消すことにした。これで、終わりだ・・!」

ふじけん「ヌード・」


ふじけんが技を唱えようとしたその時、ふじけんはとある感覚を感じ取った。

ふじけん「っ!?これは・・・まさか!?」

共に来ていた四天王、つまりイタチザメの膨大な魔力の気配が完全に消滅したのだ。


機GAUSU機「・・・?」


ふじけん「・・・状況が変わった。にわかには信じられんが、もはや貴様らの相手をしている場合ではなさそうだ」

それだけを告げると、ふじけんは次の瞬間雷と共にその場から姿を消した。



<ガウスの里 とある場所>

そこは、隊長達でさえ知らない場所。

ガウス・キャラメルプリン「またお外で皆闘ってるの?」

11、12歳ほどと見られるお人形のような少女は、隣にいる男に聞いた。

steamL「ええ・・・そうですよ。とても、とても楽しそうですね。でも我々は狂神ガウス様の側近。ここから離れるわけにはいきません」


その男は、例えるならばまさに闇を具現化したような出で立ちであった。

ガウス・キャラメルプリン「私は・・・ガウス様にお仕えする身」

そう答える少女からは、何かの「迷い」が見え隠れしている。


それを知ってか知らずか男は、愉快そうに笑う。

steamL「ふふふ、貴女もよくわかっているではありませんか」




<魔法王国部隊>
ふじけんを含む、魔法王国部隊はその場所に来ていた。

エンジェルス・ガウ子とイタチザメが息絶えた、その場所に。

魔法王国部隊員「そんな・・・イタチザメ様!!」

ふじけん「イタチザメ・・・」

ふじけんが感じ取った通り、イタチザメはそこで事切れていた。
しかし隊長3人がかりでも倒せなかったあの四天王の一人が敗れるというのは、余程の事態であった。

ふじけん(エンジェルス・ガウ子と相打ちに・・・?いや、イタチザメが隊長一人如きに倒されるとはとても思えん。あの例の暗殺省のとこのガウスの里はは今回戦場には出てきていないはずだが・・・)

ふじけんはしばらく考えたが、ついに結論を出した。

ふじけん「撤退だ」



<ガウスの里、本部>
そこに数本のナイフを腰に提げた細長く、長身の男がいた。
隊長達をまとめあげる、暗殺省長官ガウスの里はである。

ガウスの里は「・・・・」

その時、本部に慌ただしく隊員が入ってきた。

ガウスの里隊員「報告です!魔法王国が撤退を始めました!情報によれば四天王の一人が倒されたことが原因のようで・・・我々も隊長2人を失った模様」

ガウスの里は「四天王を、倒したのは?」

ガウスの里隊員「それが・・・はっきりとは分かっておらず・・・現場の状況から推測するとエンジェルス・ガウ子殿との相打ちのようですが」

それを聞いたきり、ガウスの里はは黙りこんでしまった。

ガウスの里は(四天王一人の死、か)

ガウスの里は(今回の戦い、得体の知れない何者かの意思が絡んでいるような気がするのは私の考えすぎだろうか?)

<ガウスの里 噴水前>
ふじけんと戦った2人の隊長の元に救護隊が駆けつけていた。

2人の耳にも、四天王の一人、そして隊長2人の死は知らされていた。

2人の隊長の死、そして1人の四天王の死。
これは両国にとって何らかの大きな転機になることは目に見えて明らかであった。

機GAUSU機「俺は四天王相手に何もできなかった!」

機GAUSU機は拳を地面に叩きつける。

機GAUSU機「俺は・・・もっと強く、ならねばならない」


<ガウスの里 研究所>
ガウスの里研究所の研究員達が避難していた、臨時避難所。
そこでは恐ろしい戦いが無事終結したとの知らせを受け、研究員たちが安堵していた。

研究員「あんた、少しの間姿が見えなかったがどこ行ってたんだ?今回の戦いは無事終わったらしいぞ」

信玄「ちょっとトイレに行きたくなってね。ちびらないように急いで行ってきたよ」

そこには、いつもの白衣を着た信玄がいた。


<狂連谷>
FAMEの4人のメンバーはもう谷の出口付近までやってきていた。

サモタ「もうすぐ、この谷を抜けるな。そうすれば両国ももうすぐだ。急ごう」

松原老人「休憩しませんか?」

縄源氏「だーーーーーーーーーー、おんぶしてやっとるのに文句いうんじゃないわい!」

松原老人は腰が耐えきれず、縄源氏におんぶしてもらっていた。

えばた入道「リーダー、まずはどっちの国に行くの?」

サモタ「そうだな・・・まずは、」

サモタは一瞬迷った後、答えた。」




サモタ「TZT魔法王国に向かう」


第4章に続く
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