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第3章「始動」前編

現在リトバス進行中

期待通り面白いです 時代は狂乱の世

ガウスの里に対し出陣してきたのは雷帝と恐れられる四天王の一人、ふじけんが率いる軍。
そして、治癒魔法の最高峰と讃えられる四天王の一人、イタチザメ率いる軍であった。

実のところ今まで数度あった両国の戦いの歴史の中で、魔法王国の四天王クラスが同時に二人も出撃してきたのは異例の事態である。


唐突だが、二国の分裂は500年前に遡る。
原因はまさに生得的力の違いにあった。
ガウスの里の住人は生まれつき特殊な力を持って生まれてくる人々がいる。
その力は昔から「狂技」と呼ばれてきた。
種類は様々、しかし誰しもが戦えるほどの能力を持って生まれてくるわけではなかった。
力の有無、そして力の質こそが現在の軍人と住人の違いでもある。

一方、TZT魔法王国は代々5属性に分類される「魔法使い」の血筋であった。
特殊な力を持って生まれてくるという点では同じ、しかし両者は次第にどちらが優れているか?という些細な争いから二分され、現在の両国に至るのである。



(ガウスの里)

その頃各隊長たちは配置につき、魔法王国の襲撃を待ち構えていた。

最も重要な里の進入口である正面を今回任されたのは第3部隊と第4部隊であった。


バルバロスガウス「今回は我々が守る側になるとはな・・・」

体格が大きくがっしりとした男が里の巨大な門を見つめながら呟いた。
それに答えたのは隣にいる刀を背負った老人。

ガウス正宗「今回我々の部隊は正面からの防衛じゃ。失敗は許されんの」


彼らはそれぞれ、第三部隊、第四部隊隊長である。

本来正面から迎え撃つ役目を負う戦闘部隊の第一部隊は隊長が牧場の一件で負傷したため、大事を取って後衛にあたることになっていた。

ガウス正宗「今回の戦い、何か嫌な予感がするとわしの勘が告げておるの」


バルバロスガウス「なに、今まで俺たちは数多の戦いをくぐり抜けてきた。四天王クラスがでてこない限り、十分守り切れるはずだ」

TZT魔法王国の四天王クラス。その実力はガウスの里隊長クラスを遥かに凌ぐ。
しかし基本的に彼らは魔法王国防衛のため国に居座っていることが多く、戦線に出てくることは滅多にない。



(ガウスの里門前)

ガウスの里門前には既に大勢の兵達が並んでいた。
皆魔法王国から送り込まれた部隊である。

並ぶ兵達を見回しながら、一人の男が叫び声をあげた。
その姿は、全裸である。

ふじけん「そろそろ、突撃する!各隊員構えろ!」



イタチザメは高くそびえる門を見上げながら、今頃この中で警戒態勢に入ってい
るであろう女性の事を今もまだ想う。
しかし、すぐにその迷いを振り切った。



ふじけん「ゴーネイキッド!」


轟音が響き渡り、侵入者が里に侵入した合図。
戦いが、始まる。





(ガウスの里研究所)

研究員「戦いが始まって、もう一時間か・・・」

そこはガウスの里の研究員達が避難する場所。
心配そうな顔をする者、震える者、神に祈る者。
反応は三者三様であったが、ただ一人楽しそうに笑う者がいた。

研究員「なぁ、あんたどうしてそんなに楽しそうなんだ?」

信玄「当たり前でしょ。だって今日は特別な日なのだから(^-^)」

信玄は笑みを崩さず、ただそう答えた。




(門前大広場))

第3部隊、第4部隊と魔法王国の兵達がぶつかりあってしばらくが経っていた。
防衛部隊である第3部隊、そして2人の隊長の活躍によって現在情勢はガウスの里に傾いていた。


バルバロスガウス「ふん!」

バルバロスガウスの振り下ろされた拳が轟音をあげ、敵兵達が吹き飛ぶ。
バルバロスガウスの持つ力は自身の肉体強化。しかし攻撃力だけではなく、その体はあらゆる攻撃を寄せ付けない「鉄壁」と呼ばれていた。
魔法王国の兵達の使う魔法を全く寄せ付けず、ただその肉体のみで敵を散らしていった。


魔法王国兵「おおおおおお!」

複数の兵達が戦場にいる1人の老人に向かう。
しかしその老人は自ら持つ刀でその兵達を瞬時に斬り捨てていた。

ガウス正宗「この歳になっても戦場とは・・・争いとは難儀なものじゃの」

今の瞬間まで刀を握っていたはずのガウス正宗の両手には銃が現れ、次々と敵を撃ち抜いていく。

ガウスの正宗は自分の想像した武器を「創り出す」ことができ、その各々の扱いにおいて彼は名人級の腕前であった。

第三部隊と第四部隊の兵達は今のところ魔法王国の侵入者たちを圧倒しており、里部隊の誰もが自分達の勝利を確信する。


もう少しで門の後ろまで侵入者たちを撤退させられるという時であった。
唐突に里の兵達が押され始めたのだ。

バルバロスガウス(・・・なんだ?)


兵達「ぎゃああああああああああ!?」

激しい電撃とともに、かなりの数の里兵が宙を舞う。

門の外から男の声が響いた。

ふじけん「おいおい、情けないぞお前らー!裸にならんからだ」

遠く、無数の人が交戦する中で見にくかったが、バルバロスガウスの目には確かに全裸で仁王立ちする人影が見えた。


ふじけん「ネイキッド・サンダー!!(裸の雷)」

男が叫んだ瞬間、全裸の体からおびただしい電撃が現れ、周囲の兵をことごとく弾き飛ばしていった。

バルバロスガウス「まさか・・・雷帝だと?」

バルバロスガウスの体に戦慄が走り抜ける。
四天王が戦線に出てきたということは、それだけで形勢がひっくり返される恐れがあったからだ。

滅多にないことだが今回四天王クラスが現れた以上、奴をなんとかしなければ勝利は危うかった。

バルバロスガウス「・・・私が相手になるしかないのか」

バルバロスガウスは決死の覚悟でその全裸男の前に立ちはだかった。

ふじけん「お前が隊長のようだな。少しは楽しませてくれるのか?」

ガウス正宗「わしもおるぞ」

その場に一人の老人も加わる。

バルバロスガウス「加勢・・・感謝する」

ガウス正宗「わしら隊長二人でも勝てるかわからんが・・・わしらはこの里を守らねばならぬ。わしの長い人生、今こそ真に命を賭ける時じゃ」

2人の隊長はいまや生きた心地がしなかったが、隊長2人がかりという状況によりなんとか勝機を見出すことができた。

ふじけん「こいつらの相手は俺が一人でやろう。お前は先にいけ」

イタチザメ「ああ、わかった」

ふじけんの背後からいきなり現れた少年はそのまま瞬時に二人の隊長の横を通りすぎていった。

バルバロスガウス「今のは”不死者”だと・・?そんな・・・四天王クラスが二人とは・・・」

ガウス正宗「仕方あるまい、あやつは他の者に任せましょうぞ。今は我々の命が危ない」

二人はそのままふじけんに対峙する。


ふじけん「ネイキッド・サンダー!!」

辺り一帯に再び強力な電撃が走り抜ける。

バルバロスガウス「うおおお!」
すぐさまバルバロスガウスはガウス正宗の前に躍り出た。

ふじけんの体から襲い来る電撃を、強化した自身の体で受け止める。


バルバロスガウス「ガウス正宗ー!!」

攻撃を防ぎきったバルバロスガウスは叫んだ。

ガウス正宗「おおおお!」

合図とともにガウス正宗は同時にすぐさま背後から飛び出した。
刀を抜き、そのままふじけんに切り掛かる。


ガウス正宗「勝った・・・!」

一瞬の出来事。
彼の目にもとまらぬ斬撃はふじけんを幾重にも切り裂いた、はずだった。

ガウス正宗「・・・無傷じゃと!?何も服を着ておらん、無傷で済むはずが・・・」

ふじけん「裸をなめたな?それしきの攻撃では俺のネイキッド・オーバーコートには傷一つつかんわ!」


二人はこのでたらめな敵に呆然とするしかなかった。

バルバロスガウス「ぐ・・・」

先ほどの電撃の直撃を受けとめたことにより、バルバロスガウスは負傷していた。
鉄壁と呼ばれる彼も、雷帝の攻撃の前では無傷ではなかった。


ふじけん「耐えたのは対したものだが、いつまで持つかな?」

ふじけんは再び、その全裸の体を広げ力を集中した。

ふじけん「ネイキッド・サンダー!」


バルバロスガウス「う、うおおお!」

バルバロスガウスは再びガウス正宗の盾となる。

ガウス正宗「おい、あまり無理をなさるな!お主の体が・・・」

バルバロスガウス「いや、俺はこの里を守る盾となると誓った」
そう答えるバルバロスガウスの体は既に黒く焼け焦げていた。

ふじけん「よく二発も耐えた。だが、さっさと先に行かせてもらおう」

バルバロスガウス「俺は死んでもこの里を守り通す!決して通しはしまい」

ふじけん「その心意気やよし!ネイキッド・」


その時、技を唱えようとしたふじけんの元に人影が舞い降りた。

機GAUSU機「狂拳三式 狂連」

ふじけんの生身のボディにすさまじい打撃が連続で打ち込まれる。

ふじけん「・・・っ!?オーバーコートを・・・貫通してくるとは」

刀で切られても無傷だったふじけんは吐血し、少しよろめいた。

バルバロスガウス「お前!怪我はいいのか?」


舞い降りた男は構えをとったまま告げる。

機GAUSU機「エンジェルス・ガウ子のおかげで八割方回復した故、加勢に参った」

ガウス正宗「あんたの加勢とは、こりゃ心強い!」

機GAUSU機は狂拳の使い手として隊長の中でも一番の実力を誇っていた。



機GAUSU機「もう奇襲が通じる相手じゃない。次の一撃で決めなければ恐らく俺達の命はないだろう。連携を行う!バルバロスガウス、もう1発だけ耐えられるか・・・?」

バルバロスガウス「大丈夫だ、必ず防ぎきる」

次の瞬間機GAUSU機とバルバロスガウスは2人でふじけんに向かって走り出した。


ふじけん「ネイキッド・」


次の呪文を唱えようとした時、突如ふじけんの足元が爆発し、体勢を崩す。

ふじけん「ぐ・・・あのじじいか!」

ガウス正宗は大砲を創造していた。奴の体に傷を与えることはできなくても、足
元を狂わせることによってわずかな隙を作り出したのだ。

ふじけん「これしきで俺は止められんわー!」

ふじけんは接近する機GAUSU機に向かって雷を纏った拳を繰り出した。

だがその拳をバルバロスガウスが体で受けとめる。

バルバロス「ぐっ・・・!」



機GAUSU機「おおおお!狂拳五式 狂帝!」


ふじけんの体に、渾身の一撃が炸裂した。

ふじけん「がっ・・・・はっ!」

再び血を吐き、ついにふじけんは地に伏した。


機GAUSU機「はぁはぁ・・・これで、今度こそ・・・」

機GAUSU機は治りかけていた傷が開いたのか、巻かれた包帯から血が滲んでいた。
バルバロスガウスは度重なるふじけんの攻撃をすべて体で受けていたため、相当負傷していた。



ふじけんは倒れており、ピクリとも動かない。

その時だった。






ふじけん「全裸イズトゥルーーーース!!」



大きく叫びふじけんは再び立ち上がった。



機GAUSU機「そんな・・・まだ動けるだと?」




ふじけん「ベア・ライトニング!(剥き出しの稲妻)」

ふじけんの体から雷の収束した塊が放たれた。
ネイキッド・サンダーが範囲重視ならば、こちらは電撃を収束した威力重視である。


咄嗟の出来事に3人の隊長達は対応しきれなかった。

機GAUSU機「まずい・・・!避けきれん!」

しかし、すぐにバルバロスガウスは電撃の前にでる。
だがその体はもうあれほどの攻撃に耐えられないであろうことは傍目から見ても明らかだった。

機GAUSU機「やめろ・・・!その体であの攻撃を受けたら」



バルバロスガウス「構わん、後を頼んだ」

凄まじい爆発が起き、雷が四方に拡散する。
後方の二人は無事だった。



機GAUSU機「・・・狂拳五式 狂帝」

機GAUSU機は歯を食い縛りながら、最後の一撃をふじけんにたたき込む。


バルバロスガウスがいた場所には彼の壊れた無線機だけが残されていた。


(ガウスの里中央区)

既に中ほどまで侵入していたのは四天王の1人、イタチザメ。
彼の心は戦いが始まって再び揺れていた。果たして彼女と出会ったとき、戦うことができるのだろうか?
彼は自分でもわかっていた。この気持は抑えようもないものだということに。

ため息をつきつつ、遠くの時計塔を見上げていた時だった。




エンジェルス・ガウ子「侵入者ね、ここは私の管轄区。ここから先へは行かせないわよ」


最初、お互い敵の出現に身構えたが相手の顔を見て両者ともに動揺が走った。


イタチザメ「エンジェルス・ガウ子なのか?」



エンジェルス・ガウ子「な、あなたは・・・」


しかしエンジェルス・ガウ子はすぐに冷然と告げる。


ガウ子「関係ない。あなたは敵、それは代わりのないことよ。ここであなたを殺す」



次の瞬間、ガウ子はナイフを抜きイタチザメに切り掛かっていた。


イタチザメ「っ・・・!?」
イタチザメは咄嗟にかわす。



イタチザメ「ぐ・・・だめだ!やはり君とは戦えない!」


ガウ子「あなたは敵、これは変えられない運命。私たちは最初からこうするべきだったのよ」



イタチザメはわかっていた。彼女も苦しんでいるのだということを。しかし、だからこそーー。
実際に再会し、彼の心は既に一つの結論を出していた。


ガウ子「何をやっているの?あなたの実力なら私などすぐ殺せるはず。おとなしく死んでくれるというのかしら?」


イタチザメ「ああ、構わない」


イタチザメはゆっくりと動きを止めた。その目には覚悟の色が浮かんでいる。
今度はガウ子が動揺する番だった。
あの四天王の一人が、まったく無抵抗という状況に。




ガウ子「騙されないわ、そう言って隙をつくつもり?」


イタチザメはしばらく沈黙し、やがてゆっくりと告げる。

イタチザメ「僕は・・・心から君を愛しているんだ。だから、たとえ殺されても君を攻撃することなんてできない」


ガウ子「っ・・・・」

しばらくガウ子の動きが止まる。

ガウ子「・・・なら、貴方には死んでもらう・・・!」

そう言うとガウ子はイタチザメにナイフで切り掛かった。


ドスッ




ナイフがイタチザメの胸の辺りに突き刺さっている。その先端部分のほんの少しだけが。

イタチザメ「ガウ子・・・?」


ガウ子「だめ・・・殺せない・・・敵なのに、私は隊長なのに・・・だって私もあなたを本当に愛しているから」



そう言うとガウ子はイタチザメに抱きつき、泣きだしてしまった。

イタチザメ「大丈夫、きっと和解の方法はある。僕が君を守るよ」


ガウ子「イタチザメ・・・ひどいことしてごめんなさい。やっぱり私あなたとは戦えない。だから、一緒に」




その時



一匹のうさぎが



舞い降りた




舞い散る鮮血




崩れ落ちるガウ子の体






そのうさぎは不敵に笑う






信玄「まずは一人目影法師」






後編に続く
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